株式会社 神津設計 吉野 肇氏
株式会社 神津設計
吉野 肇氏1946年生まれ。
1955年生まれ 札幌市立開成高校から東海大学工学部建築学科に入学。
(株)つばさ建築設計事務所入社。
1983年(株)ミオ建築設計北海道事務所入社。
1991年(株)北海道ミオ設計入社。
2004年(株)神津設計入社。現在に至る。
阿寒グランドホテル設計・監理歴
1990 1号館2階「雪花火」改装
1992 3号館1階「湖の詩」・ロビー改装
別館鶴雅増改築
1997 2号館新別館客室改装
花ゆう香改装
2001 新々別館増改築
サロマ湖鶴雅リゾート増築
鶴雅客室・花ゆう香改装
北璃宮改装
サロマ湖鶴雅リゾート増築
花ゆう香改装

魔法の杖をふるった人達只今、進化の真っ最中、まだまだ「鶴雅進化」が続きます。

 お祝いの言葉を述べる前に記念誌の原稿をお願いされて、困ってしまいました。
 私なりに、お付き合いさせて頂いた時代を追いながらホテルの成長を記していこうと考えております。つたない文章ですが最後までお付き合いをお願い致します。

 私は、平成2年より、ホテルの施設(意匠・構造・設備)工事の設計・監理を担当させていただいている者です。その以前、初めてホテルを訪れたのは昭和58年10月で大西社長(当時は専務?)にカレーライスをご馳走になった事を今でも良く覚えており、忘れられない思い出となっております。
 当時のホテルは、正面の建物(1号館)が大きくそびえており左右には3階建て程度の建物が続き、裏側には木造の厨房棟、その奥の湖畔にはご自宅があったことを記憶しております。その時には、ホテルの担当になりホテルが大きくなっていく様を自分の目で追うことになろうとは思ってもいませんでした。
 その6年後、ホテルのハード・ソフトの大改革が「雪花火」と命名された小間型和風高級宴会場の設計をきっかけに始まりました。当時としては、道内では画期的な2〜6人の小グループ席を中心とした和風宴会場でした。今様の旅行形態を見据えた施設だと思います。また、打ち合わせの形態も他のホテルとは違い大西社長を中心に、我々設計陣・当時の役員の方々・幹部職の方々・従業員の方々と委員会を設立して末端からの意見を吸い上げ、それを出来るだけ実現する方向で社長が最終的に判断する形を取っておりました。
 いまだにその形は崩されておらず、大西社長の人となりが見える形になっていると私は、思っております。
 「雪花火」が完成すると、「湖の詩」(1階大広間)・ロビー改装へと、構想が見えてきました。また、ハード・ソフト面でのお客様の満足度を更に高めるために、東北・北陸温泉地への研修・見学、旅館大学への出席を幾度も重ねました。
 私も、住民票を阿寒湖畔に移したほうが良いほど、一年の大半を湖畔での作業に追われました。札幌での打ち合わせも幾度と無く繰り返しおこないました。西区の琴似の牛タン屋の小上がりが打ち合わせ会場に良く選ばれ、二人で図面を前に牛タンと日本酒を片手に打ち合わせが深くなり、最後は二人とも腰が立たなくなることがたびたびでした。
 良い思いでです。

 全従業員の総意の別館が完成したのは、1994年(平成6年)の春でした。
 大型高級旅館に生まれ変わり、館名も 阿寒グランドホテル鶴雅と改まりました。  その後も、ソフト面の充実を計るために研修・見学を重ねておりました。
 1997年7月、みさを前女将が交通事故によりご逝去され、計画の進捗も牛歩となりかけました。当時の社長は、声も掛けられないほどの落ち込みようでした。札幌で何度か食事をする機会がありましたが、意外とお元気な様子でしたが 何か物寂しげな様子でした。ところが、あまり時が経たないうちに計画の打ち合わせが始まりました。
 こちらが気を使ってしまうほど短い期間で、びっくりいたしました。
 新別館の客室改装設計、2001年の新々別館・1号館客室改装・新天河改装設計と次々と完成し日本一の大型高級旅館の目標に、近づきつつあると私は思っておりました。
 その間にも花ゆう香の改装設計3回、サロマ湖鶴雅リゾートのレストラン・大浴場・和風宴会場の増改装設計2回おこない、留まることはないように思われます。

 ある時社長は、「ホテルの役員・幹部は、ホテルの新築・増築・リニューアルの計画アイディアを考えるのが仕事の一つである、また工事が出来なくなったときが進化の止まる時である。」と、お話をしておりました。
 この話を聞いている限りは鶴雅グループの各ホテルはまだまだ、目標に近づきつつあるのではなく、発展途上だと思われます。
 長々と書いてしまいましたが、ホテルの歴史をすこしでもご理解いただけたのなら幸いです。
 最後に、長期に渡り打ち合わせをさせていただきました、大西社長様・役員の方々・幹部の方々・従業員の方々にお礼の言葉と、今後の貴社ホテルのますますの繁栄をお祈りいたしまして、末筆とさせて頂きます。