あの長野オリンピックで活躍したカーリング男子キャプテン敦賀さんは常呂町出身。家業を継いだ現在でも、この町でカーリングを愉しんでいます。小さな町に中学生以上のチームが40近くあり、夜になるとリーグ戦が繰り広げられています。これほどまでに町民に愛されているカーリングについて、平松さんに語っていただきました。
 常呂町にカーリングが持ち込まれたのは、昭和年代半ばの頃でした。当時、北海道の冬の寂しいイメージを払拭するために、カナダからカーリングの講師を招いて講習会を行っていたんです。1回目が十勝の池田町、そして2回目が常呂町でした。このことをきっかけに、常呂町は町の事業としてカーリングの普及に力を入れはじめました。といっても、最初の頃は道具も満足に揃っていない状態で、生ビールの樽やガスボンベにコンクリートを詰め込んだものをストーンに見立てて使っていたんですよ。その頃はカーリングの物まねをしていたような状態で、競技スポーツという感覚はありませんでした。けれども、みんなが愉しめる遊びではあったと思います。町がカーリング専用のストーン一式を揃えてくれた事からカーリングの面白さが分かってきた気がします。最初は同好会の仲間同士で、小学校のスケートリンクの内側にシートを作っていました。ところが、屋外だと氷の管理が非常に難しかったため、専用のカーリングホールを建てるまでになりました。この施設ができてからは、学校での体育の授業に取り入れられたりして、ぐっと身近なスポーツになりました。こうした環境のおかげで、敦賀くんのような選手が育ったんです。カーリングは、相手の動きを考えてプレーするチェスのようなスポーツです。ぜひその魅力に触れてみてください。
 サロマ湖鶴雅リゾートで毎晩午後8時から開かれている「語り部の集い」。その後にバイオリンを手に美しいメロディを奏でる。“音の語り部”がベルナルドです。ポーランド生まれのベルナルドは、ワルシャワ音楽アカデミー卒業後、指揮者として世界中を公演旅行してきました。ところが、日本にだけは来たことがなかったのだとか。50歳を機に指揮者としての生活をリタイアし、第2の人生を考えた時、それまでとは違ったことがやりたくて、今まで足を運んだことはなかった日本へやって来ました。サロマ湖鶴雅リゾートでは、ディナータイムにレストランでリクエストに応えたメロディを披露したり、ロビーで生演奏したりしています。元指揮者だけあって、メロディーに対する感性は鋭く、知らない曲であっても、携帯電話の着メロやハミングなどで聞いたメロディを即興で再現することも。国境を越えた音楽で心に語りかけてくれます。“音の語り部”であるベルナルドは音楽に対する飽くなき探求心を持っており、アイヌ民族の音楽について調査・研究しては資料をまとめ、娘が籍を置く音楽アカデミーに資料を送っているほど。語り部の集いに時々参加して、アイヌ民族についての話に耳を傾けたり、ビデオ撮影したりしているので、もしかすると語り部の集いで隣り合わせることもあるかもしれません。t
 日本でのカーリングの歴史は浅いですが、発祥は15世紀のスコットランドという歴史あるウインタースポーツです。石が回転(カール)しながら滑ることから、カーリングと名付けられました。常呂町では、日本で初めての専用ホールを設け、カーリングシートが国際規格で5シート完備されています。1階はシート、2階は150名収容できる観客席。1月にはNHK杯カーリング選手権大会、2月には全道カーリング選手権大会などの公式大会が予定されています。観戦だけでなく、実際にホールで体験してみませんか?町外の方で1シートの1時間あたりの利用料は一般で1500円、高校生で700円、中学生以下で300円となっており、毎週火曜日から金曜日までの午後1時から6時までは1シートの料金で2時間利用できます。ブラシや靴、スライダーなどのカーリング用品は一式100円で貸し出しています。カーリングを身近に感じるために、一度ご利用ください。
 冬、阿寒湖畔エコミュージアムセンターを発着点とするボッケ遊歩道を散策してみると、阿寒の森の動物たちに出逢う機会が多くあります。ボッケ遊歩道は深い雪に覆われてしまいますが、スノーシューや歩くスキーを使えば、森の中だけでなく氷上も自由に散策することができます。阿寒の冬を生き抜く動物たちの様子を一部ご紹介しましょう。とはいっても、いつでも動物たちと出逢えるわけではありません。けれども雪面には動物たちのさまざまな痕跡が残されています。痕跡の主は自然に振る舞っていますから、痕跡を元に動物たちの動きを想像してみるだけで、彼らのありのままの冬の暮らしをのぞくことができます。痕跡の観察は、実際に動物たちの姿を見ることに引けをとらない魅力があります。
 阿寒湖畔はエゾシカの越冬地となっており、毎年雪が積もると多くのエゾシカを見かけるようになります。エゾシカたちは、毎日決まったルートを利用するため、冬はシカ道が轍となって目立つようになります。また、針葉樹の下の雪がかぶりにくい場所を寝床として利用するので、うずくまって睡眠をとった跡が楕円形の窪となって残っています。また、ボッケ周辺は地熱で積雪が浅いため、雪面を掘り返してササなどの下草を得るには絶好の場所。ボッケ周辺で見かけるエゾシカは、食材を探している最中で額や鼻付近に雪がかぶっていることが多いようです。また、エゾシカの群れは阿寒湖の大島や小島を食事の場所や寝床として利用しているため、氷が張った阿寒湖を一列になって移動している姿を見かけることもできます。
 雪面には、木から木へと移動した足跡や、雪面を掘り返して秋に埋めた食材を探した穴などが多数あります。おそらく、早朝から午前中にかけて活発に活動しているのでしょう。寒さが緩んだ3月頃になると、ボッケ周辺で樹液をすすっている姿を見ることができます。
 食料が少ない冬の間、エゾオオアカゲラやエゾアカゲラ、コゲラやヤマゲラなどのキツツキ類は木の幹の中いる昆虫をつつきだして飢えをしのいでいます。広葉樹の葉が落ちた林の中は見通しがよく、幹をつついている姿をよく見かけます。
 夏は地上が下草に覆われている上、歩道をそれて森の中に入っていくこともできないため、モモンガの残した痕跡をなかなか見つけることができませんが、冬は糞やおしっこ、食べかすなどの痕跡を発見しやすい条件が揃っています。痕跡がたくさんある場所はモモンガが好んで利用している場所なので、そういう場所ではモモンガの姿を目撃することもできます。
 秋にドングリなどを地面に埋めて貯食する性質があるため、雪面を掘り返している姿を見ることができます。ジャーという声の他、猫のような声やほかの鳥の鳴き真似をしたりしています。
 氷が氷結すると水鳥の多くは他の場所へ移動してしまいますが、阿寒湖周辺には温泉の沸出ポイントや冬でも凍らない河川があるため、そうしたポイントに残る水鳥もいます。ボッケ周辺の湯壺や水たまりで羽を休めるマガモの姿を見ることもできますが、野生の鳥なので、人が近づくとすぐに逃げてしまいます。
 常呂の気候風土は韓国と似ている…との発想から7〜8年前から取り組まれてきたキムチ作り。韓国食品の輸入会社を営む女社長さんを講師に招き、本場でのレシピを習うことから始まりました。年を追う毎に、常呂町の家庭の味としてすっかり定着し、キムチ造りの参加者も増えつつあります。今年は、4チームもの参加者がありました。自家製のキムチは、本漬けの3日前から用意した白菜を塩漬けするところから始まり、韓国から仕入れた粗挽きと細引きの本場の唐辛子と豊かな常呂の海から取れる海産物のダシを使った薬味に漬け込んで作られます。味の決め手となるこの贅沢なキムチの素は、白菜4個分に対して2000円ほどのコスト。各家庭で好みの味を出す工夫が重ねられ、美味しい自家製キムチが町民の食卓に上がっています。「韓国産の唐辛子は、マイルドな辛さですよ。優しい味わいに仕上げるために、果物をすり下ろしたものを加えています。」と麻畠さん夫妻。麻畠家の冬のメニューには自家製キムチをたっぷり使ったキムチ鍋も並ぶそう。常呂の名物となる日も近いかも知れません。
蓋を開けると、丁度良い加減で焦げ目がついたグラタン。湯気と一緒にほんのり甘い香りが漂います。実は、この料理はバナナを使ったグラタン。オリジナルのホワイトソースに食感を残して粗く潰したバナナを加えたものを使っているんです。気になる中身はというと、知床地鶏と厚岸産の牡蠣。彩りを添えているのはじめじとアスパラです。バナナというと、甘いイメージからデザートや子供の好きなおやつといった印象がありますが、この料理はびっくりするほど大人の味に仕上がっている自信作です。知床地鶏の旨味、牡蠣の旨味がホワイトソースの中にとけ込み、その全てを包み込むバナナの不思議な香り。最初からこの不思議な甘い香りの正体をバナナと知っておられる方には、ちょっと勇気が要るかもしれませんね。余りにも予想外の組み合わせですから。でも、バナナだと知らずに食べてしまった方は、一体なんだろう?と不思議に思われることでしょう。お客様の期待をいい意味で裏切ってしまうメニューだと思います。
阿寒の森ホテル花ゆう香フロント隣に絵本ギャラリーが新設されました。ずらりと並んだ絵本の数は約1000冊。小さなお子様向けのものから、自分で読める小学生向きのもの、大人のための絵本まで揃っています。1冊1冊が読み手ととなるお客様に配慮した配置で、小さなお子様向けのものは下の段に、大人向けのものは上の段に置いてあります。“ぐりとぐらシリーズ”など、今は大人になってしまったお客様が子供の頃に愛読していたようなものから、最近の絵本作家による作品、色鮮やかなイラストを眺めているだけでも楽しい気持ちになれる英語のもの、また最近人気の韓国語の絵本もあります。文字の読めない小さなお子様でも、絵本を開く歓びが楽しめる“飛び出す絵本”といった仕掛けものもあります。お子様連れのお客様に人気がありますね。絵本は小説などと違って、一気に読み終えることができますし、大人も子供も楽しめることが一番の人気の理由だと思います。絵本ってたくさん出版されているイメージがあるようですが、スタンダードなものが息長く出版されている状態ですので、これほどの数を一度に見ることのできる機会はそうないようですよ。チェックインされてから、入浴やお食事までの時間、また就寝前の時間に懐かしい絵本を開いて、ゆっくりと親子でコミュニケーションを深めていただきたいですね。また、日常から離れた空間で道心に還って、心の疲れをいやしていただけたらとも思っています。
阿寒の森ホテル花ゆう香のレストラン「森のハーモニー」は、2003年12月に阿寒湖に面した側を改装しています。暖炉を中心に据え、レンガを配してぬくもりある空間へとリニューアルしたのです。それに続き、今回は道路側を改装し、全体的に統一感あるイメージに致しました。今までよりも若干テーブルの数は少なくなりましたが、それによりお客様のプライベートを大切にした余裕ある空間が出来上がり、今回入口にお洒落なドアを設けたことにより、ひとつの空間として差別化することもできるようになったため、2004年12月24日のオープン以来ご利用されるお客様に大変好評をいただいております。お料理は今までと変わらずバイキング方式でお出ししていますが、プライベート空間を大切にし、明るい雰囲気になったためか、ゆっくりとお食事を愉しまれるお客様が多くなったように見受けられます。プライベートを大切にした空間ということは、お客様ひとりひとりが何をしていらっしゃるのか目につきづらいということ。お客様にサービスを提供する私たちスタッフにとっては、お客様のプライベートに踏み込まないよう、なおかつ必要なサービスは速やかに行わなくてはいけないので、実はちょっと大変です。でも、お客様がゆっくりとしていらっしゃる姿を見ると、お食事をするときの雰囲気も大切なものなのだなぁと実感することができます。すっかり新しく生まれ変わったレストランへどうぞ足をお運びください。
 アメリカの大リーグの祝勝会で、フォーミュラーワンの表彰台で、勝者を讃えるためにコルクを抜かれるのがシャンパンです。日本のプロ野球などでは、なぜかビールが使われていますが、記念日やお祝い、おめでたい席に万国共通で登場するのはシャンパンなのです。シャンパンとスパークリングワインについては以前お話しましたが、フランスのシャンパーニュ地方で作られているものがシャンパン、それ以外の発泡性のあるワインはスパークリングワインといったところでしょうか。シャンパンもスパークリングワインもこの発泡性のために保管が非常にデリケートで、一度コルクを抜いてしまったら、飲みきってしまうのが普通です。ところが、あかん遊久の里_雅では、モデ・シャンドンやヴーヴ・クリコといったシャンパンをグラス単位でも提供しています。私どものようなホテルにお泊まりにいらっしゃるお客様の中には、記念日を迎えられたり、お祝いがある方も少なくありません。そこでそういったお客様に、お食事の前の最初の一杯をビールではなく、お洒落なシャンパンで始めていただけたらと思っています。シャンパンやスパークリングワインは、グラスの底から筋になって上がる気泡も大変美しいため、いかにしてより美しい気泡を見せられるか工夫を重ね、底を絞った形のグラスが用いられています。記念日には、冷たく冷やしたシャンパンをどうぞ。
今年は例年よりも冷え込みの激しい日が続いているおかげで、12月29日には湖面の氷の上に乗ることができるようになりました。この氷がより厚くなるように穴をあけて汲み上げた水を撒いて、上下の両面から氷を厚くしていきます。ひと晩で5センチほど厚くなる日もあるんですよ。今年は雪が少なかったため、非常に透明度の高い氷ができました。この氷をスタッフみんなで切り出して、イグルーやステージ、ファイヤー台なんかを造っています。この調子でいけば、1月1日から始まった愛すランド阿寒は予定通り3月31日まで続けられそうです。日中はスノーモービルやバナナボート、4輪バギー、ワカサギ釣りやスケート、氷上すべり台を楽しむことができます。1月22日からは午後7時30分より冬華美も始まりました。氷上花火の打ち上げの他、氷切りの体験ができたり、ミニセレモニーが開かれたり、氷上ミニゲームに参加できたりと盛り沢山。各ホテルで販売している1セット300円のお楽しみセットをご購入いただきますと、揚げたてのワカサギの天ぷらを食べたり、あつあつの牛乳を飲んだりできるうえ、その日の気温が記録された体験証明書も発行されます。空気が澄んだこの季節は、お天気が良ければ幻想的な冬の星座をハッキリと見られる氷上スターウオッチングもお勧めです。阿寒湖の冬を満喫してください。

 鄙の座は、玄関で靴を脱いでチェックインする宿です。靴もスリッパも履かずにパタパタと廊下を歩いて、案内される自分の部屋へ。客室は25室のみ。各室露天風呂完備の広い客室は、マッサージチェアやオーディオが用意されていて、その部屋だけで全てが完結してしまうほど。日常の生活空間とは違う場所なのに、きちんと自分の居場所がある居心地の良さ。悪戯心やわがままもやんわりと受け止めてくれる安心感。いつでも歓迎されているという歓び。扉の向こうにあるだろう見慣れぬ風景へのドキドキ感。何枚もある中からお気に入りの浴衣を選ぶ愉しみ…。お料理の最大の隠し味はもてなしの心です。鄙の座は訪れる場所ではなく、還って来る場所。温かなもてなしが皆様を待っている心のふるさとであり続けたいと思います。
 7階建ての鄙の座は、入ってすぐに土間ギャラリー、ロビーホール、バーラウンジ、2階が客室と料理茶屋、3階から6階までが客室、6階、7階が岩盤浴室、浴場、露天風呂となっています。2階から6階までの客室25室は特別室とA〜Dの4つのタイプでそれぞれ異なるコンセプトのリピーターとしていらっしゃるお客様を飽きさせない造りとなっています。なかでも、5階はプランナーの思い入れがひと際こもったデザイナーズルーム。今回は、湖面に面した501号室「華泉」をご案内致しましょう。全室客室露天風呂付なのですが、この501号室の特徴は、檜造りの浴槽です。ドアを開けて浴槽へ向かうと、漂う湯気とともに檜の香りが。浴槽だけでなく、足元も板張りで、日本古来の職人の手の仕事に思わぬところで出会えます。座敷に続くリビング、リラクゼーションルーム、そして露天風呂と寝室。全てが阿寒湖に面していて、外からの明るい光が差し込み、開放感いっぱい。この心のふるさとでゆったりと心を解き放ってください。
 プランニングのお話をいただいて、初めて阿寒に訪れた時に感じたのは、阿寒の大地が持つ力強い生命力と温もりでした。四季を通じて伝わってくる神秘な伝説を持つ森と湖が織りなす美しい自然の営みは、私にとって心躍るものであり、心が求めるままのやすらぎの原点をそこに見いだしたのです。プランニングの仕事は、家具の作家、器の作家、酒や料理のアドバイザーなど沢山の手の技術を持つ人たちとコンセプトというひとつの共通意識を持って作業します。鄙の座のコンセプトは鄙へ還る、ふるさとへ還るというものでした。故郷に帰って心が解き放たれるように、鄙の座が訪れるこころのふるさととして利用されることを願っています。また今回のプランニングに当たっては素晴らしい手の技術を持った方々とお仕事することができました。私自身、沢山の職人さんの力を借りながら製作に関わってきて思うことは、手が学ぶ情報はかなりのものだということ。手を使った作業は、キーボードを打ってコンピュータから得られる情報とは違う数値化できない深い情報を伝えてくれるということです。長年培った手のという宝が失われつつある中、一度途絶えてしまうと復活させるのに何倍もの労力がかかるこのような技術をもつ方々が阿寒にも数多くおられ、鄙の座のコンセプトを互いに共有して表現したやすらぎの原点を感じていただけたら幸いです。
ドアが開くとどっしりと落ち着いた雰囲気。5階の部屋は全ての趣の異なる特別室。壁にはアイヌ民族の弓が飾られており、阿寒の歴史ある手の仕事を思わせる。 柔らかな光に包まれた4階のホール。5階とは全く異なる雰囲気。 踏み出すと琉球畳が敷かれており、引き戸の向こうに客室がある。  エレベータの扉が開くと、正面にあるのがこの塩蔵。この前を通って、丁寧な手仕事の料理人が待つ料理茶屋へと続いている。職人たちの手によってオホーツクの海から作られた塩が、出番を待って静かに眠っている。